樹状細胞って何?
単球から分化してできた食細胞で、樹状の触手を持ち病原体を食べ消化します。その後、病原体の情報をリンパ球に伝えます。ワクチン接種でも重要です。
樹状細胞 (DC) は、樹のような形をしていることからその名がつきました。食細胞として病原体を食べますが、同時に獲得免疫の反応を開始する重要な役割を担っています。つまり自然免疫と獲得免疫の双方をつなぐという免疫の要となる細胞の一つです。その発見は意外と古く、同種の細胞がヒトの皮膚にあることが 19世紀に発見されました。ただ、当初はその形状から神経細胞の一緒と考えられたそうです。その機能と重要性が確認されたのは 1970年代以降で、ラルフ・スタインマン博士らによって明らかにされていきました。
当初は食作用からマクロファージの同類と考えられた樹状細胞ですが、今では別物と考えられています。樹状細胞は、食べた病原体から抗原を処理してペプチドとして T細胞が認識する主要組織適合性複合体(MHC)に乗せて提示します(抗原提示)。樹状細胞の抗原提示能力は、マクロファージより強力で、抗原提示細胞といえば、今や樹状細胞のことを指すことが多くなりました。樹状細胞は抗原提示だけでなく、細胞膜表面の多数の受容体 (TLR が代表) で異物の正体を分類し、T細胞に伝えていることも分かりました。自然免疫と獲得免疫双方に重要な樹状細胞の研究は今も続いています。
執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所
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