T細胞って何?
リンパ球の一種で、ヘルパーT細胞とキラーT細胞に分かれます。後から発見された制御性T細胞はヘルパーT細胞の一種です。
T細胞(Tリンパ球)は、免疫系で最も重要な細胞の一つで、獲得免疫において中心的な役割を果たしています。T細胞の表面には T細胞受容体 (TCR) が存在し他のリンパ球と区別できます。T細胞は、骨髄に存在する造血幹細胞から生まれた後、胸腺に移動して成熟します。T細胞の名前の “T” は Thymus (=胸腺)からきています。胸腺に移動した後、いくつか異なるタイプのT細胞に成熟します。どのT細胞も身体を守るのに重要な専門性を備えた免疫細胞です。
胸腺で成熟したT細胞は、キラーT細胞(CD8+細胞)とヘルパーT細胞(CD4+細胞)に分かれます。キラーT細胞は、細胞毒性を持ち、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を直接殺すことができます。一方、ヘルパーT細胞は、異物として認識された病原体を間接的に攻撃します。B細胞に抗原情報を伝えたり、キラーT細胞に攻撃命令を出したりします。またヘルパーT細胞はさまざまなサイトカインによって他の免疫細胞とコミニュケーションし、数多くの免疫反応に影響を与えるので、「免疫の司令塔」と呼ばれます。坂口志文博士によって発見された制御性T細胞 (Treg) は、ヘルパーT細胞の一種で、免疫システムが自己を攻撃しない「免疫寛容」に重要な細胞です。
執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所
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