B型肝炎ワクチン

B型肝炎は、どんな病気?

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が感染して起こる肝臓の病気です。肝臓に炎症が起きて細胞が壊され、機能が低下していきます。放置すると、肝硬変や肝がんに進む恐れがあります。
 B型肝炎ウイルスは、感染している人の血液などでうつります。
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ワクチン接種は1歳未満。母子感染予防の対応も

 市町村が費用を負担する「定期接種」として、1歳未満の間に計3回、接種を受けられます。期間外の場合は、自分で費用を負担する「任意接種」となります。
 B型肝炎ウイルスに感染した状態で妊娠・出産すると、子どもにも血液を通じてB型肝炎ウイルスがうつる母子感染の可能性があります。この場合、出生後12時間以内を目安に1回目のワクチン接種を行うなどの対応が必要となります。また、その後も定期接種とは異なるスケジュールでの接種となります。このケースは定期接種ではありませんが、健康保険が適用されます。

不活化ワクチンを使用

 2021年9月現在、国内で使われているB型肝炎ワクチンは、ウイルスの感染性をなくした「不活化ワクチン」という種類です。
<B型肝炎ワクチンを製造しているメーカー>
・KMバイオロジクス株式会社
・MSD株式会社 (50音順)

若いほど効果が高い傾向に

 40歳までにB型肝炎ワクチンを接種すると、95%の人にB型肝炎ウイルスに対抗する抗体がつくられます。この割合は加齢とともに下がり、40~60歳で90%、60歳以上になると65~70%となります。

ワクチン全般における副反応の種類と対策・対応

一般に、ワクチンを接種した後に腫れや痛みなどの「副反応」が現れることがあります。原因の多くは、ワクチンで免疫を得るために起こしている免疫反応と考えられますが、ワクチンとの関連がはっきりしないケースもあります。
 ワクチン接種後によく見られる症状は以下の通りです。
【注射した場所にみられる症状】腫れ、赤み、痛み、など
【全身の症状】発熱、だるさ、筋肉痛、頭痛、など
 これらの症状は自然に治る軽い症状であることがほとんどですが、症状が重い場合はかかりつけ医に相談してください。
 また、下記のような重い副反応や、弱い感染症状が現れる場合があります。
おう吐、じんましん、失神、アナフィラキシー、けいれん、無菌性髄膜炎、など。
 これらの症状が出た場合は、医師による適切な処置が必要です。重い副反応が現れても迅速に対応できるように、ワクチン接種後はしばらくその場で様子を見て、帰宅後も医師とすぐに連絡がとれるようにしておくことが必要です。
 ワクチンを接種した後に重い症状が出た場合は、原因が分からなくても「副反応の疑い例」として厚生労働省に報告され、今まで分かっていなかった副反応の発見に役立てられます。気になる症状があれば、かかりつけ医に報告・相談するようにしてください。
 また、救済制度の申請についても、かかりつけ医やお住まいの市町村にご相談ください。

参考文献
* 公益財団法人予防接種リサーチセンター「予防接種実施者のための予防接種必携2019」2019.P67
* 国立感染症研究ホームページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-vir2/1526-hepatitis/3217-hbv-vaccine-fact-and-safety-for-professional.html
* 厚生労働省ホームページ”B型肝炎ワクチンQ&A”
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000137554.pdf
* 厚生労働省ホームページ“B型肝炎について”
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/01a.html
* 日本小児科学会「日本小児科学会の「知っておきたいワクチン情報」予防接種の副反応と有害事象」2018.参考 2021.04 
* 日本ワクチン学会「ワクチン基礎から臨床まで」2018.P40


執筆:2021年9月
文責:一般財団法人阪大微生物病研究会

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