B型肝炎ワクチン

B型肝炎は、どんな病気?

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が感染して起こる肝臓の病気です。肝臓に炎症が起きて細胞が壊され、機能が低下していきます。放置すると、肝硬変や肝がんに進む恐れがあります。
B型肝炎ウイルスは、感染している人の血液などでうつります。
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ワクチン接種は1歳未満。母子感染予防の対応も

市町村が費用を負担する「定期接種」として、1歳未満の間に計3回、接種を受けられます。期間外の場合は、自分で費用を負担する「任意接種」となります。
B型肝炎ウイルスに感染した状態で妊娠・出産すると、子どもにも血液を通じてB型肝炎ウイルスがうつる母子感染の可能性があります。この場合、出生後12時間以内を目安に1回目のワクチン接種を行うなどの対応が必要となります。また、その後も定期接種とは異なるスケジュールでの接種となります。このケースは定期接種ではありませんが、健康保険が適用されます。

不活化ワクチンを使用

現在、国内で使われているB型肝炎ワクチンは、ウイルスの感染性をなくした「不活化ワクチン」という種類です。

<B型肝炎ワクチンを製造しているメーカー>
・KMバイオロジクス株式会社
・MSD株式会社 (50音順)

若いほど効果が高い傾向に

40歳までにB型肝炎ワクチンを接種すると、95%の人にB型肝炎ウイルスに対抗する抗体がつくられます。この割合は加齢とともに下がり、40~60歳で接種すると90%、60歳以上で接種すると65~70%となります。

ワクチン全般における副反応の種類と対策・対応

ワクチンを接種して期待される免疫効果と同時に、接種箇所の赤み、はれ、痛み等の望ましくない局所反応や発熱、リンパ節腫脹等の全身反応を惹起することが多く、これらは“副反応”と呼ばれています。
ワクチンの種類によっても異なりますが、発熱、接種箇所の赤み、はれ、しこり、発疹などが比較的高い頻度(数%から数十%)で認められます。通常、数日以内に自然に治るので心配の必要はありません。ただし、接種箇所のひどいはれ、高熱、ひきつけなどの症状がある場合は、医師の診察を受けてください。
ワクチンの種類によっては、極めてまれ(百万から数百万人に1人程度)に脳炎や神経障害などの重い副反応が生じることがあります。このような場合、健康被害を受けた本人やその家族が救済の請求を行うことで、審査が行われ、認定されたときは給付の対象となります。定期接種の場合は、予防接種法に基づく健康被害救済の対象となるため、救済の請求は、予防接種を受けたときに住民票を登録していた市区町村に対して行います。一方、任意接種の場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済の対象となるため、救済の請求は独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対して行います。
ワクチンを接種した後はその場でしばらく様子を見ること、帰宅後もすぐに医師と連絡をとれるようにしておくことが必要です。

参考文献
・公益財団法人予防接種リサーチセンター「予防接種実施者のための予防接種必携 令和5年度(2023)」P76-77
・国立感染症研究ホームページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-vir2/1526-hepatitis/3217-hbv-vaccine-fact-and-safety-for-professional.html
・厚生労働省ホームページ”B型肝炎ワクチンQ&A”
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000137554.pdf
・厚生労働省ホームページ“B型肝炎について”
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/01a.html
・一般社団法人日本ワクチン産業協会「2023予防接種に関するQ&A集」2023.p75
・(公財)予防接種リサーチセンター「予防接種と子どもの健康 2024年度版」から転載(一部改変)
・厚生労働省 予防接種健康被害救済制度について(2024/5/29閲覧)
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医薬品副作用被害救済制度に関する業務 Q&A (2024/5/29閲覧)

執筆:2021年9月
最終更新:2024年9月
文責:一般財団法人阪大微生物病研究会

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