日本脳炎ワクチン

日本脳炎は蚊が運ぶ

日本脳炎ウイルスが原因で起こる感染症で、このウイルスを持つ蚊に刺されて感染します。感染してもほとんどの場合は症状が現れず、発症する割合は0.1~1%です。発症すると、発熱、頭痛、嘔吐などの症状がでたあと、様々な精神・神経症状(意識障害、けいれん、マヒなど)がみられます。致死率は20~50%とされています。
 日本では1960年代に年間1,000人程度の患者が発生していましたが、積極的にワクチン接種を進めた結果、現在では患者の発生は多い年でも10人程度です。
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1967年まで年間500人以上の死者

 日本では1967年まで日本脳炎の患者は年間1000人を超えていました。
 しかし、1954年に日本脳炎ワクチンが開発され、次第に患者は減少して1992年以降は年間11人 以下となっています。

ワクチン接種は、生後6~90カ月と9~12歳に

 日本脳炎ワクチンは、市町村が費用を負担する「定期接種」として、生後6~90カ月未満に3回、9~12歳に1回の計4回、接種できます。標準的な接種スケジュールは、3歳の時に2回、2回目から6カ月以上間隔を空けて3回目、最後に9歳で1回、となります。
 予防には、夏に野外に出るときは長袖を着たり、蚊よけ剤を使ったりするなど、できるだけ蚊に刺されないようにすることも大切です。

ワクチンの効果は約80%

 日本脳炎ワクチンは、ウイルスの感染性をなくした「不活化ワクチン」です。日本脳炎発症を防ぐ効果は、約80%と推定されています。
<製造しているメーカー>
・KMバイオロジクス株式会社
・一般財団法人阪大微生物病研究会 (50音順)

ワクチン全般における副反応の種類と対策・対応

 ワクチンを接種した後に、腫れや痛みなどの症状がでることがあります。この好ましくない症状を「副反応」と呼びます。副反応が起こる原因の多くは、ワクチンで免疫を得るために起こしている免疫反応と考えられますが、ワクチンとの関連が不明瞭なものもあります。
ワクチンを接種後、よく見られる症状に以下のようなものがあります。
【注射した場所にみられる症状】腫れ、赤み、痛み、など
【全身の症状】発熱、だるさ、筋肉痛、頭痛、など
これらの症状は自然に治る軽い症状であることがほとんどですが、症状が重い場合にはかかりつけ医に相談してください。
一方で、まれに以下のような重い副反応が起こることもあります。 
おう吐、じんましん、失神、アナフィラキシー、けいれん、など。
 これらの症状が出た場合は、医師による適切な処置が必要です。万が一、重い副反応が現れた場合に迅速に対応できるよう、ワクチンを接種した後はその場でしばらく様子を見ること、帰宅後もすぐに医師と連絡をとれるようにしておくことが必要です。
 ワクチン接種によって重い症状などが出た場合は、救済制度があります。申請方法については、かかりつけ医やお住まいの市町村にご相談ください。
 ワクチンを接種した後に重い症状が出た場合は、その原因がわからなくても「副反応の疑い例」として、厚生労働省に報告し集約され、今までわかっていなかった副反応を発見することにも役立てられます。気になる症状があれば、かかりつけ医に報告・相談するようにして下さい

参考文献
* 一般社団法人日本ワクチン産業協会「2020ワクチンの基礎 ワクチン類の製造から流通まで」.2020、P171
* 一般社団法人日本ワクチン産業協会「2020予防接種に関するQ&A集」.2020. P241
* 公益財団法人予防接種リサーチセンター「予防接種実施者のための予防接種必携2019」2019.P64
* 日本ワクチン学会「クチン基礎から臨床まで」.2018.P40
* 日本小児科学会「日本小児科学会の「知っておきたいワクチン情報」予防接種の副反応と有害事象」2018.参考 2021.04 

執筆:2021年6月
文責:一般財団法人阪大微生物病研究会

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