そもそも免疫ってなんだ?
生物が、がんなどの病気や、体内に侵入する病原体が起こす感染症を防ぐために持つ「仕組み」の総称です。
生物学における免疫とは、多細胞生物が有害な微生物(がんを含む)に抵抗する能力のことです。免疫には、皮膚によるバリア効果や涙や鼻水による洗い流しの効果を含むこともありますが、その本質は自己に属するものを認識して許容し、異物(非自己)を認識して拒絶するという複雑な生物学的システムといえます。その中心を担うのが数々の免疫細胞です。
免疫は、異物(抗原)の種類にかかわらず広範囲の病原体を排除する「非特異的な免疫」と特定の抗原に対して激しく反応する「特異的な免疫」の二つに分けられます。その免疫が特異的か非特異的かは免疫を担当する免疫細胞によります。特に、特異的な免疫は新しい病気に遭遇するたびに病原体特異的な免疫を生成し記憶することができるため、興味深い研究対象になってきました。特定の病気の予防に強く効くワクチンの開発もその一つです。こうした免疫の働きを研究する学問を総称して「免疫学」といいます。
執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所
イラスト:長門香織
感染症
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