病気は気から、って本当?
神経が高ぶったり落ち込んだりという精神状態が免疫の働きに作用することが明らかになってきました。
見知らぬ土地、特に言葉が通じない国に旅行した際に緊張状態に置かれた人が、帰国したとたん気が緩んで寝込むということがあります。これは精神の緊張状態つまり中枢神経系の働きが免疫に作用したと考えられます。経験上こうした現象は知られていましたが、その真偽は謎でした。
神経生理学の立場から言うと神経が興奮している状態ではアドレナリンというホルモンが分泌されています。アドレナリンは免疫細胞の一つである Bリンパ球の表面に結合できます。この状態でBリンパ球はリンパ節から出ていきにくくなります。つまり神経が興奮状態にあるときBリンパ球はリンパ節に多くとどまり病原体に備えています。興奮状態が解除されアドレナリンが少なくなると、Bリンパ球はリンパ液と血液に乗って全身に分散します。すべてが解明できたわけではありませんが、緊張から弛緩状態で体調に変化が起こるのはこうした原因があると考えられます。
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大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫応答動態学G研究成果
「病は気から」の根拠を実験的に証明
執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所
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