ウイルスは細菌とは違うの? 抗生物質は効くの?

細菌とウイルスは別物です。 抗生物質は細菌を退治するためにつくられた薬なので、ウイルスには効きません

細菌は一つの細胞で、遺伝子やタンパク質を作る装置を持っています。
ウイルスはそのような装置を持っていません。ウイルスが増えるためには、細胞の中に入り込んで、細胞のすねをかじりながら増殖します。
ウイルスと細菌では増え方も病気の起こし方も全く違うので、作用する薬も異なります。

ウイルスは細胞の中でたくさん増え、細胞の外に出てきます。さらに別の細胞の中で増殖して……ということを繰り返し、体の中に広がっていきます。
体はウイルスを外に追い出そうとして免疫が活性化し、咳や鼻水、発熱などの症状となってあらわれます。

抗生物質はさまざまな種類があり、どれも細菌の増殖の邪魔をして薬として働きます。ウイルスと細菌は増殖の仕方が異なるため、ウイルスに抗生物質は効きません。
抗ウイルス薬というウイルス用の薬もありますが、ウイルスは種類によって性質や増え方が大きく異なるので、あるウイルスに効く薬が別のウイルスにも効くとは限りません。新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬も、新型コロナウイルスの性質をよく理解して開発・実用化する必要があります。

【コラム】全てが悪者じゃない!

ウイルスや細菌のように、小さくて顕微鏡でしか見られない生物を「微生物」と総称します(厳密には、ウイルスは生物の最小単位である細胞を持たないので「生物」とは言えませんが)。 
微生物の中で、病気を引き起こすものを「病原体」といいます。 
微生物は私たちの周りにも、体の中にもうじゃうじゃ! 
でも、その中で病気を引き起こすのはごく僅かで、1%いるかいないかだろうと考えられています。 

執筆:2021年9月
文責:大阪大学微生物病研究所

感染症

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