PCR検査って何?
鼻の粘液や唾液に新型コロナウイルスが含まれているかどうかを、ウイルスの遺伝子の一部を増やして調べる検査です。
ウイルスは小さくて見えません。また、粘液や唾液に含まれているウイルスは少なすぎてそのままでは検出が困難です。
そのため遺伝子を増やして検出します。この遺伝子を増やす方法を「PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)」といいます。
ウイルスから遺伝子を取り出して装置にセットし、遺伝子が増えるまで待たなければならないので、時間がかかります。
また、小さな容器を何十も並べて作業するなど、細かい操作が必要なので、習熟が必要です。
SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)が2003年に流行したときは、実験室内感染と考えられる例も見られました。ウイルスが拡散しないよう措置された環境で注意深い操作が必要です。
PCR方とは: ウイルスの遺伝子を増幅して検出します
Polymerase Chain Reaction法(PCR法)という、遺伝子を増幅する方法を使い、ウイルスの遺伝子を増殖して検出しています。ちなみにPCR法は、今や遺伝子研究になくてはならない技術で、この方法を発見したカリー・マリスは1993年にノーベル化学賞を受賞しました。
<PCR法の原理>
まず一本のDNAをもとに、DNAを複製します。さらに、複製された2本のDNAをそれぞれ複製します。これを繰り返すことで、2本が4本、4本が8本、、、と倍々にDNAが増幅されます。患者さんの検体に含まれるウイルスの遺伝子量では検出できませんが、このPCR法で増幅することにより検出できるようになります。PCR法には、ウイルスの遺伝子配列情報をもとに人工的に合成した短いDNA断片(プライマー)が必要です。今回は中国の研究グループが発表した新型コロナウイルスの遺伝子配列をもとにこのDNA断片を合成しています。
※コロナウイルスはRNAウイルスなので、PCR法の前にRNAをDNAに変える「逆転写」という作業も追加されます。
執筆:2021年9月
文責:大阪大学微生物病研究所
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