BCGワクチン
かつては国民病だった肺結核
結核は、結核菌によって引き起こされる感染症の総称です。多くは肺に発症する「肺結核」ですが、肺以外の臓器に発症する「肺外結核」もあります。感染した人が咳やくしゃみをしたときに飛び散る、ごく小さな飛沫(しぶき)に含まれる結核菌を吸い込むことで感染します。
肺結核では、咳や痰、発熱、呼吸困難など風邪に似た症状が現れるため、「ただの風邪」と見過ごされることも少なくありません。しかし、治療が遅れると重症化し、死亡することもあります。
かつて、第2次世界大戦の終戦直後は、20歳になるまでに国民の半数以上が結核に感染するほどで、まさに国民病でした。現在は治療できる病気ですが、重症化すると命に関わることもあるため、早期発見と治療が大切です。 また、乳幼児を対象としたBCGワクチンによって、発症の予防を図ることができます。
ワクチン接種は1歳未満
BCGワクチンは、市町村が費用を負担する「定期接種」として、1歳未満の間(標準的な接種期間は生後5カ月から8カ月未満)、接種を受けられます。期間外の場合は、自分で費用を負担する「任意接種」となります。
ワクチンの効果
BCGは結核を予防するために接種するワクチンです。乳幼児期にBCGを接種することにより、結核の発症を52~74%程度予防でき、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度予防できると報告されています。また、一度BCGワクチンを接種すれば、その効果は10年程度続くと考えられています。
<BCGワクチンを製造しているメーカー>
・日本ビーシージー製造株式会社
ワクチン全般における副反応の種類と対策・対応
ワクチンを接種して期待される免疫効果と同時に、接種箇所の赤み、はれ、痛み等の望ましくない局所反応や発熱、リンパ節腫脹等の全身反応を惹起することが多く、これらは“副反応”と呼ばれています。
ワクチンの種類によっても異なりますが、発熱、接種箇所の赤み、はれ、しこり、発疹などが比較的高い頻度(数%から数十%)で認められます。通常、数日以内に自然に治るので心配の必要はありません。ただし、接種箇所のひどいはれ、高熱、ひきつけなどの症状がある場合は、医師の診察を受けてください。
ワクチンの種類によっては、極めてまれ(百万から数百万人に1人程度)に脳炎や神経障害などの重い副反応が生じることがあります。このような場合、健康被害を受けた本人やその家族が救済の請求を行うことで、審査が行われ、認定されたときは給付の対象となります。定期接種の場合は、予防接種法に基づく健康被害救済の対象となるため、救済の請求は、予防接種を受けたときに住民票を登録していた市区町村に対して行います。一方、任意接種の場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済の対象となるため、救済の請求は独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対して行います。
ワクチンを接種した後はその場でしばらく様子を見ること、帰宅後もすぐに医師と連絡をとれるようにしておくことが必要です。
なお、BCGワクチン接種による副反応で最も多いのは、わきの下のリンパ節の腫れです。接種から4~6週間後に症状が出ることが多く、2カ月程度で小さくなり、消えていきます。化膿してうみが出てくることがありますが、傷口を清潔にするだけでよいです。また、接種後1~2か月頃、全身に湿疹のようなブツブツがでることがあります。これも多くの場合、治療は不要です。ワクチン接種後に何か異常が見られたら、医師に相談してください。
参考文献
・国立健康危機管理研究機構ホームページ 結核について (2026年5月6日閲覧)
https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/tuberculosis/index.html
・予防接種の手びき(2026-27年度版)近代出版 p.245-260
・厚生労働省ホームページ “BCGワクチン” (2026年5月6日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/bcg/index.html
・厚生労働省ホームページ “結核” (2026年5月6日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html
・日本小児科学会「日本小児科学会の「知っておきたいワクチン情報」予防接種の副反応と有害事象」 (2026年5月6日閲覧)
https://www.jpeds.or.jp/society-activities/pediatric-medical-care/vaccination/vaccinations-infectiousdiseases/20263.html
・日本ビーシージー製造株式会社 一般の皆様へ Q&A(2026年7月16日閲覧)
https://www.bcg.gr.jp/general/qa/question.html
・一般社団法人日本ワクチン産業協会「2025予防接種に関するQ&A集」
公益財団法人予防接種リサーチセンター「予防接種と子どもの健康 2026年度版」p.40から転載(一部改変)
・厚生労働省 予防接種健康被害救済制度について(2026年7月14日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkouhigaikyuusai.html
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医薬品副作用被害救済制度に関する業務 Q&A
(2026年7月14日閲覧)
https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0001.html
執筆 2026年8月
文責:一般財団法人阪大微生物病研究会
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