Hibワクチン

インフルエンザ菌b型(Hib)による感染症

Hib感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenza type b)という細菌によって発生する病気で、そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児で発生に注意が必要です。
主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいます。この菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎等の重篤な疾患を引き起こすことがあります。※1

ワクチン接種

Hibワクチンは、市町村が費用を負担する「定期接種」として、生後2カ月~5歳未満までの乳幼児に計4回接種します。標準として、Hib感染症の発症年齢のピークを考え、2カ月以上7カ月未満で接種を開始します。※2
使用できるワクチンは、5種混合ワクチン、単抗原ワクチンがあります。

<5種混合ワクチンを製造しているメーカー>
・KMバイオロジクス株式会社
・一般財団法人阪大微生物病研究会

<単抗原ワクチンを製造しているメーカー>
・サノフィ株式会社

重篤なHib感染症にかかるリスクを95%以上減らす

ワクチン接種により、Hibが血液や髄液から検出されるような重篤なHib感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。※1
中でも、Hib髄膜炎は、5歳未満人口10万人当たりのHib髄膜炎の罹患率は、2007年は5.6人、2008年は8.2人、2009年は7.4人であったのに対し、定期接種化後の2014年には0人となり、ワクチンが導入される前と比較して100%の減少が認められました※2※3。

ワクチン全般における副反応の種類と対策・対応

ワクチンを接種して期待される免疫効果と同時に、接種箇所の赤み、はれ、痛み等の望ましくない局所反応や発熱、リンパ節腫脹等の全身反応を惹起することが多く、これらは“副反応”と呼ばれています。
ワクチンの種類によっても異なりますが、発熱、接種箇所の赤み、はれ、しこり、発疹などが比較的高い頻度(数%から数十%)で認められます。通常、数日以内に自然に治るので心配の必要はありません。ただし、接種箇所のひどいはれ、高熱、ひきつけなどの症状がある場合は、医師の診察を受けてください。
ワクチンの種類によっては、極めてまれ(百万から数百万人に1人程度)に脳炎や神経障害などの重い副反応が生じることがあります。このような場合、健康被害を受けた本人やその家族が救済の請求を行うことで、審査が行われ、認定されたときは給付の対象となります。定期接種の場合は、予防接種法に基づく健康被害救済の対象となるため、救済の請求は、予防接種を受けたときに住民票を登録していた市区町村に対して行います。一方、任意接種の場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済の対象となるため、救済の請求は独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対して行います。
ワクチンを接種した後はその場でしばらく様子を見ること、帰宅後もすぐに医師と連絡をとれるようにしておくことが必要です。

参考文献
※1 厚生労働省 Hib感染症 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/hib/index.html
2024年3月現在
※2 一般社団法人日本ワクチン産業協会 予防接種に関するQ&A集
※3 厚生労働科学研究費補助金 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業Hib、肺炎球菌、HPV及びロタウイルスワクチンの各ワクチンの有効性、安全性並びにその投与方法に関する基礎的・臨床的研究平成26年度総括・分担研究報告書 庵原俊明、「小児細菌性髄膜炎および侵襲性感染症調査」に関する研究(全国調査結果)菅秀ほか」厚生労働科学研究成果データベース 
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2014/143121/201420046A_upload/201420046A0004.pdf
・一般社団法人日本ワクチン産業協会「2023予防接種に関するQ&A集」
・(公財)予防接種リサーチセンター「予防接種と子どもの健康 2024年度版」から転載(一部改変)
・厚生労働省 予防接種健康被害救済制度について(2024/5/29閲覧)
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医薬品副作用被害救済制度に関する業務 Q&A (2024/5/29閲覧)

執筆:2024年4月
最終更新:2024年7月
文責:一般財団法人阪大微生物病研究会

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