腸内細菌(腸内常在菌)って何をしてるの?
腸内細菌は、わたしたちの健康維持にとても大切な役割をしていています。
私たちの小腸、大腸には多種多様な細菌が約100兆個もいて、ヒトと共生していることがわかっています。ヒトの体は約40兆個の細胞からできているといわれているので、細胞の数より多いことになります。このたくさんの細菌が腸内でつくる生態系を「腸内細菌叢」または「腸内フローラ」と呼んでいます。
腸内細菌は、わたしたちの健康に深く関わっていて、体に良い働きをする「善玉菌」もいれば、悪い働きをする「悪玉菌」、どちらにも属さない「日和見菌」がいます。
健康な腸内では、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が悪玉菌の働きを抑えています。ところが、腸内フローラのバランスは食生活などの生活習慣やストレスによって崩れやすく、このバランスがくずれて悪玉菌が有利になると便秘や下痢をはじめとする体の不調など様々な影響があらわれ、病気にかかりやすくなってしまいます。
また、腸は食べ物からの栄養を吸収するところなので、口から侵入するウイルスや細菌など外敵の驚異にさらされています。そのため、腸の免疫機能は非常に発達しています。この免疫にも腸内フローラが関わっています。
微生物病研究所ではこんな研究をしています
感染症メタゲノム研究分野
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/laboratories/detail/19
腸内細菌とヒトと健康の関係について、腸内フローラの網羅的な遺伝子解析からの解明をめざしています。
腸内細菌とがん発症の関係に関する研究成果
細胞老化の誘導を介して大腸がんの発症を促進させ得る腸内細菌を同定
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/achievement/research/2021/163
P. asaccharolyticaおよびP. gingivalisという腸内細菌の活動により産生された酪酸が大腸がん発生促進の鍵であることを明らかにしました。
執筆:2022年8月
文責:大阪大学微生物病研究所
感染症
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