蚊が病気を運ぶって本当?
本当です。病気の原因となるウイルスや寄生虫をはこぶ蚊がいます。
病原体を運ぶ蚊は世界中に生息しており、蚊の種類によって運ぶウイルス・寄生虫が決まっています。
病原体を運ぶ種類の蚊でもすべての蚊がウイルス・寄生虫を持っているわけではありませんが、感染症の流行地に行く際は肌の露出をさける、虫よけ剤を使用するなど、蚊に刺されないよう注意が必要です。
病原体を運ぶ蚊(例)
ヒトスジシマカ
運ぶ病原体:デングウイルス、チクングニアウイルス、ジカウイルス、ウエストナイルウイルス
生息地:熱帯〜温帯地域。日本では1950年以降徐々に生息地域が北に拡大していることが明らかになっています。デングウイルス、チクングニアウイルス、ジカウイルス、ウエストナイルウイルスはいずれもなど熱帯地域で流行する感染症ですが、日本に持ち込まれた場合、感染症が広がる可能性があります。
ネッタイシマカ
運ぶ病原体:黄熱ウイルス、デングウイルス、チクングニアウイルス、ジカウイルス、ウエストナイルウイルス
生息地:熱帯・亜熱帯地域。最近のグローバル化や地球温暖化により生息地域の拡大が危惧されています。
コガタアカイエカ
運ぶ病原体:日本脳炎ウイルス
生息地:東〜東南アジア、中近東、アフリカ。日本全国にも生息しています。ブタなどの家畜からも吸血するので、日本では飼育されているブタの日本脳炎感染状況を監視し、国立感染症研究所がデータを公開しています。
国立感染症研究所HP
https://www.niid.go.jp/niid/ja/y-sokuhou/668-yosoku-rapid.html
アカイエカ
運ぶ病原体:ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス
生息地:東アジアの温帯地方。日本にも広く分布。
シナハマダラカ
運ぶ病原体:三日熱マラリア
生息地:日本・東南アジア・中国
ガンビエハマダラカ
運ぶ病原体:熱帯熱マラリア
生息地:日本・東南アジア・アフリカ
ハマダラカは日本にも生息していますが、マラリアの流行地域は主に熱帯・亜熱帯です。日本でも第二次世界大戦後流行しました。現在は年間100名弱の感染例が報告されており、ほとんどが流行地域への渡航者が帰国後国内で発症するケースで、この患者さんからさらに広がった例はありません。
微生物病研究所の関連研究成果
ジカウイルスやデングウイルスなどが属する「フラビウイルス」のウイルス増殖機構
ウイルス制御学グループ(松浦研)による研究成果
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/achievement/research/2022/175
安全で効果的なデングワクチン開発
タイ拠点ウイルス感染部門山中特任准教授らによる研究成果
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/achievement/research/2019/126
マラリア原虫の分化メカニズムを明らかに
感染病態学分野(山本研)による研究成果
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/achievement/research/2019/128
執筆:2022年8月
文責:大阪大学微生物病研究所
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