オミクロンとかデルタとか、変異ウイルスって何?

ウイルスが自分自身の遺伝子(設計図)をコピーして増えるときにできるコピーミスによって現れます。

コピーミスにより設計図が変わると、新型コロナウイルスを構成するタンパク質のアミノ酸が変わります。このアミノ酸が変わった(変異した)ウイルスを変異ウイルスといいます。
新型コロナウイルスをつくるタンパク質のうち、Sタンパク質というタンパク質が人の細胞表面にある受容体(ACE2)に結合します。タンパク質はアミノ酸がたくさんつながった鎖が折りたたまれてできていますが(Sタンパク質は1273個のアミノ酸でできています)、このうちACE2に結合するアミノ酸が変化すると、結合性が変化し、感染力の違いにつながることがあります。

感染力の高い変異株の感染者のほうがふえておきかわる

アルファ株(オレンジの線)は2021年の始めから増え始め、5月〜6月はほとんどアルファ株の感染者でしたが、その後7月頃から急増したより感染力の強いデルタ株(青い線)が優勢になり、ほとんどおきかわりました。

日本における「変異ウイルス出現割合」と「新型コロナウイルス感染者数」
出典:https://outbreak.info/

2021年11月下旬から確認されたオミクロン株は、2021年12月7日現在まだ日本での確認はわずかですが、南アフリカではデルタ株からオミクロン株に置き換わりつつある状況です。
オミクロン株はデルタ株がさらに変異したのではなく、アルファ株やガンマ株から変異したと推測されます。デルタ株が世界を圧巻している間に、ある集団で独自に変異が積み重なり、デルタ株を凌駕する感染性が獲得されたと考えられます。
オミクロン株は他の変異株より、多くの変異が蓄積されています。この変異がどのように感染性の高さにつながるのかは未だ不明です。また、他の変異株と比較し病原性が高いのか、低いのかも検討が必要です。

南アフリカ共和国における「変異ウイルス出現割合」と「新型コロナウイルス感染者数」
出典:https://outbreak.info/

そもそもウイルスは変異するものである

ウイルスが自分自身の遺伝子(設計図)をコピーして増えるときにできるコピーミスが変異です。
つまり増えれば増えるほど、変異する確率は上がります。
変異により増殖や感染力がかわらないものもあれば、強くなるもの、逆に弱くなるものもあります。変異株=強毒になる、とは限りません。

新型コロナウイルスを含む、設計図がRNAのウイルスは設計図がDNAのウイルスより変異しやすいという特徴があります。変異したウイルスのうち、その時の環境に適したウイルスが選択されます。

つまり変異していろいろなウイルスがいることは、ウイルス自身が生き残っていくための生存戦略ともいえます。

執筆:2021年9月 2021年12月追記
文責:大阪大学微生物病研究所

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