ワクチンの副反応はどうして起こるの?
免疫反応が起きているから
ワクチンを接種して期待される免疫効果と同時に、接種箇所の赤み、はれ、痛み等の望ましくない局所反応や発熱、リンパ節腫脹等の全身反応を惹起することが多く、これらは“副反応”と呼ばれています。
「ワクチンとは何か」から説明しましょう。ウイルスや細菌といった病原体に一度感染すると、免疫がつき、次は感染しにくくなったり、感染しても症状が軽くてすむようになったりします。この仕組みを利用し、感染した時と似た状態をわざと起こして、病気に対する免疫だけを得るように工夫したものがワクチンです。ワクチンは、病原体から感染性をなくしたものや、病原体の一部分などをもとに作られます。
つまり、免疫を得るには、体の中で免疫反応が起きる必要があります。
免疫反応は、体を守るための反応です。例えば、免疫細胞が病原体を見つけると、そこに免疫細胞が集まりやすくなるように毛細血管を広げる物質を出します。すると、血液も集まり、患部は赤くなって腫れ、熱を持ちます。熱が高いと、病原体は増殖しにくくなり、免疫細胞の働きは強くなるので、体を守るために有利です。
これらの免疫反応が、副反応となって現れる場合があります。ワクチンはできるだけ体に害がないように設計されていますが、免疫反応を起こさなければならないため、上記の発熱のような副反応を完全にゼロにすることはできません。また、ワクチンに含まれる物質でアレルギーを起こす場合や、ワクチン自体が原因ではない副反応もあります。
ワクチンとして使われているものは、病気を避けられるメリットと、副反応のリスクを比較して、メリットが大きいと判断されたものです。
どんな副反応が?
ワクチンの種類によっても異なりますが、発熱、接種箇所の赤み、はれ、しこり、発疹などが比較的高い頻度(数%から数十%)で認められます。通常、数日以内に自然に治るので心配の必要はありません。ただし、接種箇所のひどいはれ、高熱、ひきつけなどの症状がある場合は、医師の診察を受けてください。
ワクチンの種類によっては、極めてまれ(百万から数百万人に1人程度)に脳炎や神経障害などの重い副反応が生じることがあります。このような場合、健康被害を受けた本人やその家族が救済の請求を行うことで、審査が行われ、認定されたときは給付の対象となります。定期接種の場合は、予防接種法に基づく健康被害救済の対象となるため、救済の請求は、予防接種を受けたときに住民票を登録していた市区町村に対して行います。一方、任意接種の場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済の対象となるため、救済の請求は独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対して行います。
ワクチンを接種した後はその場でしばらく様子を見ること、帰宅後もすぐに医師と連絡をとれるようにしておくことが必要です。
ワクチン接種の前に効果とリスクの説明
ワクチン接種は、ワクチンの効果と副反応のリスクについて説明を受け、同意した上で行われます。また、事前の問診で、病気の経験や基礎疾患、体質、体調などを確認し、接種できるかどうか医師が判断します。
参考文献
・真柳仁「とっても優しい生物基礎」P134 https://www.obunsha.co.jp/pdf/support/9784010340004-p130_147.pdf
・一般社団法人日本ワクチン産業協会「2023予防接種に関するQ&A集」
・(公財)予防接種リサーチセンター「予防接種と子どもの健康 2024年度版」から転載(一部改変)
・厚生労働省 予防接種健康被害救済制度について(2024/5/29閲覧)
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医薬品副作用被害救済制度に関する業務 Q&A (2024/5/29閲覧)
執筆:2021年6月
最終更新:2024年7月
文責:一般財団法人阪大微生物病研究会
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