百日咳

ひどいせき込みと、笛声がでる一連の発作が特徴

ひどいせき込みと、それに続いて息を深く吸い込む際に長く高い音(笛声)が出る一連の発作が特徴です。乳児では重症化しやすく、1歳未満の乳児が死亡者の大半を占めます。原因菌の百日ぜき菌は感染力が強く、世界中で流行しています。

症状:6~10週間続く

潜伏期間は7~14日、症状は6~10週間続き、カタル期、痙咳(けいがい)期、回復期の3期に分かれます。成人の場合はせきが長く持続しますが、発作性の症状を示すことはなく、やがて回復に向かいます。軽症のため見逃されやすいのですが、患者のせきなどに菌は含まれるため、ワクチンを接種していない乳児に感染させる危険もあり、注意が必要です。

カタル期

普通のかぜ症状から次第にせきの回数が増えて激しくなります。

痙咳(けいがい)期

短いせきが連続的に起こり、続いて息を吸うときに笛の音のようなヒューという音が出る、百日ぜきに特徴的な発作的なせき(痙咳)が出ます。せきがひどいときはしばしばおう吐を伴います。息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進むことがあります。合併症は、肺炎や脳症が報告されており、特に乳児では注意が必要です。

回復期

激しい発作はだんだん減ってなくなりますが、その後も忘れた頃に発作が出ます。発症から2~3カ月で回復します。

感染経路:せきなどに含まれる菌で感染

主にせきなどで菌が運ばれ、ヒトからヒトに感染します。

病原体:百日ぜき菌が原因

原因菌の百日ぜき菌は、棒のような形をした細菌です。同じボルデテラ属のパラ百日ぜき菌も百日ぜき菌と同様の症状を起こします。
 百日ぜき菌がどうやって病気を引き起こすか、まだよく分かっていません。百日ぜき菌の繊毛にある定着因子(ヒトの細胞に取り付くための因子)や、百日ぜき菌が作る毒素が関係していると考えられています。

治療・予防:抗菌薬とワクチン

生後6カ月以上の患者には抗菌薬(エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどのマクロライド系)が用いられます。特に初期のカタル期で有効です。
現在定期接種として採用されている4種混合ワクチンの一つが百日咳に対するワクチンです。ワクチンの効果は4~12年とされているため、ワクチンの効果が薄れた青年や成人に感染する場合があります。

執筆:2021年9月
文責:大阪大学微生物病研究所

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