一度かかったら同じ病気にかからない?
リンパ球が以前かかった感染症の記憶を持っていれば、2度目以降すぐに治ってしまうことがあります。しかし時間がたって記憶が薄れていれば、同じ感染症の症状が出ることもあります。
免疫という言葉の語源となったのが「1度かかった病気から2度目以降は逃れることができる」という意味です。この現象は古代ギリシャ時代から観察されて、一部の人は知っていたようです。しかし、現実に2年続けてインフルエンザにかかることもしばしばありますから、この言葉は絶対ではありません。ウイルスはその遺伝子を変化させて感染しようとします。以前かかった感染症(病原体)の記憶が新しい変異ウイルスに役立たないこともしばしばです。一方で生涯1回しかかからない、または1回のワクチン接種で一生かからない感染症があります。天然痘は世界保健機関(WHO)が根絶宣言を出したように、ワクチン接種で地球上から患者がいなくなった唯一の感染症です。
執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所
感染症
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