エイズウイルスはどうやって病気を起こす?
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が免疫の司令塔であるヘルパーT細胞に侵入して病気をおこします。
HIVがヘルパーT細胞に侵入すると、ウイルスが増殖するためにヘルパーT細胞の部品が使われるため、ヘルパーT細胞が破壊され、その結果免疫が働かなくなります。
HIV は、レトロウイルスと呼ばれるウイルスに属し、後天性免疫不全症候群 (AIDS) の原因となるウイルスです。HIVはさまざまな免疫細胞(ヘルパーT細胞や単球)に侵入し、特にヘルパーT細胞の数を極端に減少させます。こうして免疫の司令塔が働かなくなると、他の免疫細胞への指令が失われるため、普段どうということのない感染症(日和見感染症)やがんに対する抵抗力が低下して死に至ることがあります。つまり、HIV はヒトの免疫細胞に標的を絞った病原性ウイルスであり、免疫を弱めることでヒトの命を奪うといえます。ただし、HIVは感染力の高いウイルスではなく、AIDSの治療法も進歩していて死亡率は下がっています。
執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所
感染症
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