免疫はどうやって敵をやっつけるの?
免疫の働きを担う免疫細胞は、病原体に対抗するためのさまざまな役割とそのための機能を持っています。
病原体に対する最初の防衛ラインとなる非特異的免疫すなわち自然免疫の細胞は、病原体をあまり区別せずに食べます。これらは「食細胞」と呼ばれ、好中球、マクロファージ、樹状細胞がその代表です。敵を区別しないとはいえ、自分の細胞や体の成分は食べないような性質を持っています。
食作用だけで倒しきれない強力な病原体が来たときは、獲得免疫のリンパ球という細胞の出番です。リンパ球には、大きく分けてTリンパ球(T細胞)とBリンパ球(B細胞)があります。T細胞の中でもキラーT細胞は感染した細胞やがん細胞を外から殺します。B細胞は、その病原体にだけ強く作用する抗体という分子を作り攻撃します。またB細胞の一部は敵の情報を記憶して再度の感染に備えることができます(ワクチンの原理)。キラーT細胞もB細胞も、免疫の司令塔と言われるヘルパーT細胞による攻撃の指令が必要です。そのヘルパーT細胞に病原体の情報を教えるのは、食作用を持つマクロファージや樹状細胞です。つまり免疫細胞は個々の能力だけでなく、自然免疫と獲得免疫が情報交換したり強めあったりして身体を守っています。
執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所
イラスト:長門香織
感染症
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