サイトカインストームって何?

炎症を起こす免疫細胞の働きが暴走した状態です。炎症が重症化して、ショックで死に至ることもあります

炎症は病原体排除に必要な免疫反応の結果です。そのキーとなるのがサイトカインというタンパク質です。サイトカインには様々な種類があります。その中でも炎症性サイトカインと呼ばれるサイトカインは患部を刺激し発熱や他の免疫細胞の活性化を行います。患部の治癒とともにその働きが収束してくれれば問題はありません。ところが、必要以上にサイトカインが出続けると、炎症が止まらず身体にとってショック状態となります。こうした炎症が炎症を呼ぶ免疫の暴走状態がサイトカインストーム(嵐)です。

 サイトカインストームが全身で起こるとショック状態で血圧が降下するため命に関わります。サイトカインストームの引き金となるのは、やけどなどの外傷や細菌感染などです。例えば敗血症は本来身体を守るはずの免疫の暴走だということが分かっています。歴史や文学にも敗血症性ショック(=サイトカインストーム)と思われる死亡例が見られます。

執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所
イラスト:長門香織

感染症

  1. トップトップ
  2. サイトカインストームって何?