ワクチンは本当に効くの?
ワクチンの効き目には個人差がありますが、社会全体で流行を抑える効果はあります
ワクチンは、人間の体に備わった免疫の力を利用するものなので、効き目には個人差があります。しかし、社会全体で考えると、効果があり免疫ができた人のところで感染拡大が食い止められるため、多くの人がワクチンを接種していれば流行は抑えられます。この状態になっていれば、ワクチンが効かなかった人や病気や体質によりワクチンを接種できない人にも間接的に「ワクチンが効いた」ことになります。
新型コロナウイルスのワクチンの場合、日本で最初に使われたファイザー製のワクチンは、承認前の試験で95%の予防効果(有効率)が確認されました。米国では「有効率50%以上、最低でも30%以上」をワクチン承認の条件としていたので、想定以上の効き目です。それでも、ワクチンが効かずに新型コロナウイルス感染症になってしまう人は出てしまいます。
ワクチンの予防接種は、撲滅に成功した天然痘のほか、ポリオや麻しん、風しんなど感染症の予防に貢献してきました。
効き目には、感染予防や重症化予防という違いも
また、ワクチンによって「どんな効果があるか」や「どの程度効くか」が違います。
ワクチンに期待される効果には、細菌やウイルスの感染を抑える「感染予防」、症状を抑える「発症予防」、死亡や入院を防ぐ「重症化予防」、接種していない人も守られる「集団免疫」がありますが、ワクチンによって主な効果は異なります。
例えば、インフルエンザワクチンには感染や発症を予防する効果も一定程度ありますが、主な効果は重症化予防です。
また、「効き目がどれだけ続くか」も、ワクチンによって異なります。インフルエンザワクチンの場合、予防効果が期待できるのは5カ月程度と考えられています。
参考文献
* 厚生労働省ホームページ「ファイザー社の新型コロナワクチンについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_pfizer.html
* 一般社団法人日本感染症学会 ワクチン委員会「COVID-19ワクチンに関する提言(第2版)」https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2102_covid_vaccine_2kasen.pdf
* 一般社団法人日本ワクチン産業協会「2020予防接種に関するQ&A集」.2020. P275
執筆:2021年6月
文責:一般財団法人阪大微生物病研究会
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