アレルギー反応ってどんな反応?

もともと外敵から自分の体を守るために備わっている免疫反応が、食べ物や花粉など大きな害のない物質に対しても過剰に働くものです。

アレルギーは、抗原に対する過剰で有害な免疫反応で、組織の炎症や重篤な疾患を引き起こします。アレルギーは、免疫反応物質、抗原の種類、免疫システムのメカニズムに基づいていくつかに分類できる自己免疫疾患の一種と考えられます。その極端な例としてアナフィラキシーがあります。アレルギー反応を引き起こす抗原はアレルゲンと呼ばれます。アレルゲンとなるタンパク質分子に共通な構造は特にありませんが、一般的には、小さく、可溶性の分子です。あるタンパク質にアレルギーを持つ人が、全く異なる別種のタンパク質にもアレルギーを持つ可能性もあります。 

急性アレルギー反応は、一般的にアレルゲン接触後速やかに(1時間未満)発症します。肥満細胞(マスト細胞)からヒスタミンやその他の分子が放出されます。ヒスタミンは局所的な炎症を引き起こし、その症状である急性の局所的な発赤や腫れを引き起こします。肥満細胞からのヒスタミン放出は、アレルゲンが肥満細胞表面にある IgEに結合することで急速に起こります。これに対して、慢性的なアレルギー反応は、アレルゲンに接して6~12時間以内に起こります。これは細胞性の反応で、T細胞、好酸球、さらにマスト細胞がアレルゲンにさらされた場所に集まってくることで起こります。患部に集中するこれらの細胞は、酵素、毒性タンパク質、さらにサイトカインを放出し、さらなる炎症を引き起こします。強いアレルギー反応を引き起こす要因は完全には解明されていませんが、育った環境、抗原提示細胞の種類と量などが大きく影響します。アレルギー患者では、ヘルパーT細胞のバランスが崩れて、細胞性免疫の1型ヘルパーT細胞 (Th1) より液性免疫の2型ヘルパーT細胞 (Th2)の反応に偏ることが分かっています。

執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所

感染症

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