B細胞って何?

リンパ球の一種で、病原体の情報を基に抗体というタンパク質を作り、体を守ります。

B細胞はT細胞と並ぶリンパ球の一方の柱です。B細胞の初期の発生は、出生前に胎児の肝臓で始まり、出生後は生涯を通じて骨髄で行われます。“B” はbone marrow(=骨髄)から来ています。B細胞は、獲得免疫の中でも液性免疫系の中心であり、侵入した病原体に対する抗原特異的な免疫グロブリン (Ig) の産生を担当します。抗体はB細胞から液中に放出され病原体を無毒化します(中和)。抗体のバラエティ(作れる抗体の種類)は数千万とも言われますが、一つの免疫細胞が産生する抗体は一種類です。つまりB細胞は少しずつ異なる性質を持つ多数の細胞から成る集団です。

B細胞の抗体産生に必要なのは病原体の情報(抗原)です。B細胞は、その抗原の情報を自然免疫細胞(マクロファージ・樹状細胞)とヘルパーT細胞の力を借りて得ます。そしてB細胞はその病原体を倒すための抗体を作る一方で、一部は記憶B細胞となって2度目以降の再感染に備えます。この原理は人工的に感染の記憶を作るワクチン療法に生かされています。B細胞は病原体感染時にその病原体を担当するB細胞だけが爆発的に増えます。また未知の病原体(例えば新型ウイルス)に対しても、自らの遺伝子の部品を組み替えて新しい抗体分子を作ることができます。この仕組みを解明したのが、利根川進博士です。利根川進博士はこの功績により1987年のノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

執筆:2021年9月
文責:大阪大学免疫学フロンティア研究センター・微生物病研究所

感染症

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